60歳からの老後資金の守り方と攻め方
<ファイナンシャルプランナーへのご相談コーナー>
Q4 60才から老後資金の守りと攻め方
リタイヤ後、虎の子である老後資金をどのように守り、殖やすべきでしょうか。銀行や証券会社の勧める投信信託を買って、いつの間にか時価評価がマイナスになり塩漬けになってしまったケースも多いことと思います。
老後資金を守りながら相応に高い利回りを追求することは決して不可能なことではありません。しかし漫然と投信信託を購入して待っているだけでは、資産を殖やすどころか大切な虎の子の元本を守ることすらままなりません。
特に注意が必要な運用として、「分配型」投資信託があります。このタイプの投資信託は、配当金の原資を運用して稼いだ収益に限定せず、預かった元本そのものを食いつぶす“タコ足”配当になっていることが珍しくありません。そういった投資信託は、投資した受益権の口数自体は変わりませんが、1口当たりの「基準価格(純資産額)」が次第に目減りしていきます。運用成績が悪いと純資産を大きく食いつぶしているケースが珍しくありません。
国内の投資信託だけでも7000本を超えるファンドが販売されています。運用商品について銀行や証券会社から十分な説明を受けたつもりでも、知識不足や理解不足による思わぬ落とし穴があります。また金融機関の説明不足に起因する苦情件数も相変わらず多いようです。
一方、元本保証商品や低リスク商品であれば資産価格は安定しますが、何年待っても虎の子の老後資金を殖やすことができません。むしろ老後資金は時間の経過とともに生活費で着実に目減りしていくばかりです。さらにアベノミクスや日銀の金融緩和(クロダノミクス)でインフレが進行すると、実質的な資産価値は目減りしていきます。年1%の物価上昇が進むと、預金100万円の価値は10年間で90.5万円相当に減少します。日銀の目標である年2%のインフレが実現すると、10年間で82万円相当まで減少することになります(預金金額が減るのではなく、モノやサービスの価格が上昇します)。