家計相談「お金の貯まるファイナンシャルプランナーの家計簿とは?」
<ファイナンシャルプランナーの家計相談>
ファイナンシャルプランナーへのご相談内容
Q. お金が貯まる「ファイナンシャルプランナーの家計簿」の付け方を教えてください
「以前は普通に生活していればお金が貯まったのですが・・・」
当社ファイナンシャルプランナーを訪れたご相談者のYさまご夫婦は「以前は普通に生活していればお金が貯まったのですが・・・」と口々に悩みをご相談いただきました。Yさまのご家庭は埼玉県在住で食品メーカー会社員のご主人(42歳)と専業主婦の奥様、小学生のお子様2名の4人家族です。
担当ファイナンシャルプランナーがご相談者さまご夫婦に詳しくお話しを伺うと、ご主人が消費者金融に手を出すくらい毎月の資金繰りが厳しい状況に陥っているとのこと。
昨年4月、ご相談者さまは晴れて管理職に昇進されたまでは良かったものの、残業代がつかなくなり、年収
は750万円から670万円まで80万円近くもダウン。
「小5と小2の子供の塾代や習い事の月謝で毎月6万円が飛んでいく」状態で、赤字家計に困った奥様が半年前から家計簿を付け始めたとのこと。家計の節約のため、買い物時間を夕方にずらして特売品を買いあさったり、ブランド米をやめて安いお米に代えたりと努力はしているものの、一向に赤字体質から抜け出ることができないでいらっしゃいました。
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「苦痛を伴う家計簿」
ご相談の当日、奥様は半年間付けてきた家計簿を持参されており、担当ファイナンシャルプランナーが拝見すると、支出科目ごとにとても丁寧に記帳されていました。例えば、食費の項目では野菜や肉類などの細目もきちっと記帳され、細目ごとに毎月の支出額が集計されていました。
丁寧な家計簿に感心する担当ファイナンシャルプランナーに対し、奥様は「専業主婦の意地もあり、きっちり家計簿を付け始めましたが、毎月赤字が続くため、家計簿を付けること自体が本当に苦痛になっています」とのこと。
ボトムアップ型の家計簿の限界
このような支出科目を積み上げるボトムアップ型の家計簿は家計の記録としては素晴らしいものですが、よほど几帳面な方でない限り苦痛を伴いますし、「お金が貯まる家計簿」としては有効的ではありません。もちろん、詳細な記録があることで無駄遣いを発見し、家計の改善に活かしていくことはできますが、詳細な家計簿を付けることが楽しい方以外にはお勧めできません。
FPがこっそり教える「お金の貯まる家計簿」の付け方
それでは、どのような家計簿であれば、お金が貯まる家計簿になるのでしょうか。しかも苦痛を伴う家計簿作りから開放され、「ときめく家計簿」に変えることができます。
やり方を先にご紹介すると、家計簿の付け方の発想を180度転換し、従来の支出項目を記録していくボトムアップ型の家計簿ではなく、項目毎の支出総額を予め決めておくトップダウン型の家計簿に改めることで、毎月の赤字家計を黒字家計に転換することができます。
トップダウン型の「お金の貯まる家計簿」の始め方......苦痛の家計簿からココロときめく「幸せの家計簿」へ
@まず年間の貯蓄目標額を設定します
給与振込口座の通帳または給与明細書を手元に用意し、1年間の給与・賞与の手取額合計を計算します。給与天引きの財形貯蓄等があれば手取額合計に足し算してください。
目標とする年間の貯蓄目標額を設定します。例えば1年間の手取額×5〜10パーセント等と掛け合わせ、目標とする年間貯蓄額を設定します(万円未満は切り捨て)。
当社のファイナンシャルプランナーにご相談いただければ、お子様の将来の教育費や夫婦の老後資金の計算などをお手伝いさせていただき、将来にわたる毎年の目標貯蓄額を算定いたします。
A年間の支出可能額を計算します
下記の計算式で1年間の支出可能額を計算します。ただし、賞与・残業代等の増減や税金・社会保険料の負担増加により手取額が変化する可能性があるため、手取合計額の3%程度をあらかじめ手取合計額からバッファーとして差し引いておくと安心です。もしバッファー分の手取額が減少しなければ、貯蓄目標額の上乗せ分となり、家計のゆとりにつながります。
1年間の支出可能額 = 1年間の給与・賞与の手取合計額 ×0.97−1年間の貯蓄目標額
B年間の予算配分を行います
上記Aで求めた1年間の支出可能額から予算配分を行います。学費(授業料)や車検代、旅行代など、あらかじめ分かっている大きな支出予定額を先取りで予算化しておきます。香典代などの予想ができない費用やあまり細かな予算配分は必要ありません。
C毎月の予算額を決定 “家計の断捨利・リストラ”
毎月の予算額の決定では、食費や雑費、通信費などを項目ごとに予算化していきます。ちなみに、毎月毎月予算額を考える必要はなく、初回のみ以下の手順で予算配分を行います。
電話代や新聞代、習い事の月謝などは毎月ほぼ定額ですから、そのまま予算化します。残った部分が食費・雑費等の「やりくり費用」になりますが、もし@→A→B→Cで計算した結果、やりくり費用が生活水準を維持できないような金額であれば、@の貯蓄目標額を見直しましょう。また、スマホなどで高額になっている通信費を削ったり、多すぎる習い事の月謝などを見直すことも有効です。当社ファイナンシャルプランナーは、家計の断捨利(リストラ)をコーチングの技術を用いてお客さまに寄り添いながらご案内いたします。教育への思いや拘りなどをお伺いし、最良なプランをプロの目でご一緒に考えさせていただきます。
毎月の予算額 = {年間の支出可能額(上記A)−年間の大きな支出予定額(上記B)}÷12
D毎月の支出を簡単管理
予算が決まれば、現金で買い物する範囲とクレジットカードで買い物する範囲を明確に分けておきます。
そして、現金部分の出し入れは明確に管理します。
例えば食材費・日用品費・習い事の月謝代を現金で支払うのであれば、食材費+日用品費は週単位で小分けにし、月謝代は支払い先ごとに分けて、クリアファイルのポケット等に月初に用意しておきます。毎週、その予算の範囲でお金を使い切ればよいので、家計管理がぐんと楽になります。
その他クレジットカードで支払う項目については、利用金額をノートに記し、当月分の合計金額をメモしておきます。
現金にせよ、クレジットカードにせよ、いずれにおいても、予算額に収まるよう支出状況を「見える化」しておくことがポイントです。
家計簿の付け方一つで、必然的にお金が貯まる家計へ......ご相談者さまは年間84万円の改善
ご相談者さまの家計の断捨利(リストラ)では、高額になっていた通信費を抜本的に見直すとともに、お子様の多すぎた習い事の一部を見直し、小2のお子様の苦手な算数の改善策にシフト。さらに貯蓄性の悪かった学資保険の切り替えなどで毎月7万円以上もの家計支出を改善。管理職への昇格に伴う手取収入の減少を補うだけでなく、赤字家計を貯蓄できる家計にチェンジすることができました。
ご相談の最後に、担当ファイナンシャルプランナーからご相談者さまに「お金の貯まる家計簿スタートキット」をさし上げましたが、とてもシンプルな家計簿問題の解決法により、年間84万円を超える家計の改善を図ることができました。
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