失敗しない建設業者・住宅メーカーの選び方
<ファイナンシャルプランナーへのご相談コーナー>
Q8 失敗しない建設業者・住宅メーカーの選び方
住宅展示場に行くと素敵なモデルハウスが並んでいて、どの住宅メーカーと契約すべきか悩んでしまいます。人生の大きな買い物で失敗はできません。
実際にあったケースとして、テレビコマーシャルを積極的に流していた準大手の住宅メーカーが突然倒産したり、完成保証制度を謳っていても万一のときは破産管財人との個別交渉や追加費用の負担が必要になるケースがあるなど、一つ間違えると深刻なトラブルに巻き込まれるリスクと隣り合わせです。ここでは住宅メーカーと契約するまでの代表的なチェックポイントのうち3点ご紹介します。
<1.建物よりも営業担当者>
住宅展示場で見るべきは建物よりも「営業担当者」といっても過言ではありません。
ついつい建築工法の良し悪しに目が行ってしまいますが、まずチェックすべきは営業担当者のスキルと能力です。施主であるあなたの希望をしっかり受け止めて、十分な対応力があるか見極めましょう。プランニングでは膝詰めの打ち合わせを何度も重ねることになりますから、性格的な「相性」も大切です。契約後に担当者を代えてもらおうとしても、なかなか承諾してくれない会社が多いでしょう。
<2.会社の信用力・安全性>
住宅メーカーが上場企業の場合、インターネットで会社の「決算短信」や「有価証券報告書」を簡単に閲覧できます。これらの書類では、売上・利益の状況はもちろん、安全性を測る自己資本比率やキャッシュフローなどもチェックできます。もし「決算短信」に記載されている「継続企業の前提」の項目に、継続性の疑義について記載されていたら特に注意が必要です。また自己資本比率が30%を下回っている会社の場合、借入依存度が高いといえます。
非上場企業の場合は過年度の決算内容についてヒアリングしたり、会社の代表者や責任者と面談して経営状態を確認すると良いでしょう。もし急成長していて一見景気よく見える会社でも、借入過多で資金繰りが詰まってしまえば倒産してしまいます。もし経営状態や決算内容についてきちんとした説明が得られなかったり、少しでも心配が残るなら、納得するまで契約してはいけません。近年の倒産事例では、一般的な建築費用の支払条件に比べて、前払い要請の強い会社や前払いをすると大幅値引きする販売手法の会社が問題になっています。
住宅建築の請負契約における支払条件
|
契約時 |
着工時 |
上棟時 |
内装着手時
・中間時 |
完成時 |
3回払いの場合 |
20% |
− |
50% |
− |
30% |
4回払いの場合@ |
10% |
30% |
30% |
− |
30% |
4回払いの場合A |
10% |
30% |
− |
40% |
20% |
5回払いの場合 |
10% |
20% |
30% |
20% |
20% |
※住宅産業団体連合会により平成21年3月27日に示された例示であり、個別の契約とは異なります。
<3.提案プランと見積書>
往々にして施主の希望より住宅メーカーの都合が提案プランに色濃く反映されていることがあります。家族の一日の生活動線をイメージして間取りをチェックしましょう。特に生活動線を考える上で各部屋の収納スペースの取り方なども重要な要素です。営業担当者には季節ごとの日照や周辺建物と窓の相対状況、防犯性などを考慮したプランであるか質問してみましょう。下手をすると、ほとんど何も配慮されていないことが珍しくありません。契約してからプラン変更を希望すると、思わぬ追加料金が請求されるケースがあります。契約前に見積書の内容を慎重に確認しましょう。
住宅性能評価制度など、より詳しいチェックポイントは当社刊「よい家に住まう<住宅購入の手引>」にてご紹介しています。