2030年の老後生活はどうなる?超高齢化社会の現実
<ファイナンシャルプランナーへのご相談コーナー>
Q6 2030年代の老後生活の現実
今からおよそ15年後(2030年)の日本は基礎年金受給者1人を1.6人の現役世代が支える超高負担の時代に突入しています。2010年では現役2.2人で受給者1人を支えていたことから、単純計算で3割近く悪化する計算です。さらにその先はより深刻な状況が見込まれており、例えば厚生年金制度では2050年に年金受給者1人を1.1人の現役世代が支えると予想されています。
現行の公的年金制度は世代間で負担を先送りする「賦課方式」が採用されており、制度の大幅な見直しが必要になることは自明です。65才から支給される老齢基礎年金の支給開始年齢の更なる引き上げや年金額の減額など、老後プランを考える上でこれら制度変更リスクに対する留意が必要になります。
年金が68才や70才から支給される老後生活を念頭におきながら、いつまでも健康にいられる「健康管理」と、生活防衛としての「自分年金」を積立てる時代の幕開けです。言い換えると、未来の老いた自分を現役の自分が守る自己責任の時代ともいえます。
医療保健制度については年金制度以上に深刻な財源難が予想されています。
年金制度は脆弱とはいえ、積立金を保有しており、短期的な財政破綻は免れることができます。一方、医療費については単年度収支で保険料収入と医療費給付の帳尻を合わせており、医療費のかかる70代以上人口の割合が増えると、保険料収入と消費税の増税だけでは制度を維持できず、患者負担割合の引上げ(窓口負担割合の増加や高額医療費還付制度の引下げ等)が進む可能性があります。高齢になると慢性疾患や急性疾患で病院にかかる機会は増加します。患者負担が引き上げられることで、経済的に医療を受け難い時代になることが想定されます。
さらに介護保険制度については2000年に制度が始まったばかりですが、世代間で支えあう賦課方式で運営されています。急速な高齢化により、介護サービスの見直しや自己負担割合の増加など、制度の見直しは今後必至になると推測されます。
このように2030年代以降、年金・医療・介護すべての分野で今よりも厳しい財政状況が予想されます。悲観ばかりしていても始まりません。より良い老後生活の第一歩は、現役時代からの健康な体作りと自分年金の積み立てから始まります。