年金保険の選び方
<ファイナンシャルプランナーへのご相談コーナー>
Q1 年金保険の選び方
年金保険はコツコツと掛金を払い込んでおくと、保険会社が長い期間をかけて契約者の資産を増やしてくれて、老後に年金形式で給付される保険商品でした。
説明が「でした」と過去形であるのは、かつては高利回りで掛金合計の2倍以上の年金を受け取れるプランもありましたが、現在の新規契約は20年かけても掛金合計の1.02倍にもならないといったプランが珍しくありません。さらに万一の死亡保障はそれまで積み立てた掛金と同額以下でしかなかったり、中途解約はペナルティ付き(積立済の元本割れ)といった商品設計のものもあるので注意が必要です。
年金保険を検討するに当たり、まずは払い込んだ掛金の実質的な利回りを確認すると良いでしょう。死亡保険の割合が高いと、実質利回りは表面的にマイナスになるケースもあり得ます。
次に、自己資金(積み立てている保険掛金)が解約しにくい状態で長期間固定されてしまうことを前提に、家族の資金計画を立てると良いでしょう。子供が大きくなり目先の教育資金が不足しているにも関わらず、年金保険料を払い込む必要に迫られることなどを防ぐ上で有効です。
三つ目に、運用利回りを追求するのであれば、ハイリスク・ハイリターンの変額保険を検討するか、NISAを活用して投資信託などで積み立てる方法を検討するとよいでしょう。どちらも元本保証はありませんが、商品選びやポートフォリオによっては高い利回りを期待することができます。ただし漫然と投資信託などに投資しても、期待ハズレに終わる可能性もあり、一定の知識が必要です。
最後に、年金保険に残された最大の魅力である税制上のメリットについても確認しましょう。
具体的には下記4つの条件を満たすことで、個人年金保険料控除による恩典を受けられます※。2012年以降の新規契約であれば、年間保険料8万円までを上限に、所得税率20%の人で最大8000円のメリットが受けられます。住民税の恩典は年間保険料5万6000円を上限に最大2800円のメリットがあります。尚、年末調整や確定申告による手続きが必要です。
※契約時に「個人年金保険料税制適格特約」があることを確認しましょう。
@年金受取人は契約者本人または配偶者であること
A年金受取人は被保険者と同じ人であること
B保険料の払込期間は10年以上あること
C確定年金・有期年金の場合、年金開始日における被保険者の年齢が60歳以上かつ年金受取期間が10年以上あること