住宅購入時の頭金を貯めると損するって本当?頭金の必要額とは
<ファイナンシャルプランナーへのご相談コーナー>
現在賃貸物件に暮らしている方から住宅購入時の頭金の必要額についてご相談をいただきました。その方は4~5年前に他社FPから「住宅購入時の頭金は多ければ多いほど、住宅ローンの金利負担が少なくなるから良い」といわれ、「毎月13万円の家賃を払いながら頭金を少しずつ貯めてきた」とのこと。確かに他社FPの言うとおり頭金が多いに越したことはありませんが、頭金を貯めるための「隠れ費用」があることを理解していないFPが多くいます。
少し専門的になりますが、将来は「持ち家」と考えていて今は「賃貸」に暮らしている人は、1歳年をとるたびに数十万円の「機会費用」を隠れコストとして負担しています。
例えば、35才で家賃10万円の賃貸に住んでいる人が1歳年をとると、家賃とは別に約55万円の「機会費用(隠れ費用)」を負担している計算になります(※試算の前提等は上記Q1と同じです)。この機会費用とは、35才から1年間賃貸生活で過ごした結果、36歳から80才までの家賃総額と同じハウジングコストで購入できるマイホーム価格が35才の時に比べて約55万円目減りすることになります。
賃貸生活を長くすればするほど、将来家賃の総額と同一のハウジングコストで購入できる不動産物件の価格は低下していきます。この低下分が「機会費用」となり、賃貸生活のデメリットといえます。
見方を変えれば、賃貸生活を続けて不動産の保有リスク(価格変動リスクや震災リスク、建物の減耗等)を負わない分、この「機会費用」が生じるともいえます。
「住宅(マイホーム)購入の頭金を貯めないと、住宅ローンの金利負担で損をする」というFP専門家の方もいますが、今の家賃がタダであるか相当廉価(安い)でもない限り、人生の1年当たりの時間価値といえる「機会費用」は意外と大きいものです。
さて、冒頭の「頭金はいくら必要?」というご相談についてご回答すると、「住宅購入価格の2~3割程度」を頭金として用意すべきとの考え方が一般的です。これは、住宅ローンの審査が有利になりやすいことに加え、将来の転勤や離婚などで急に住宅を売却する必要が生じた際、住宅ローン残高が物件価格を大きく上回ることを防ぐ上で有効であるためです。 ただし、先ほどご解説したとおり、頭金を貯めるために賃貸生活を続けていると、毎年数十万円もの隠れコストが生じていることを考慮した上で、最適なタイミングをFPの専門家と相談すると良いでしょう。
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